下北半島のサル調査会

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File26:釜臥山の定点カメラ撮影に見る季節感

下北半島を代表する山に釜臥山(かまふせやま 標高879m)があります。山の頂上が釜を臥せたように見えることから、この名が付いたと言われています。昔、会津藩から移り住んで斗南藩をつくった武士達は斗南磐梯(となみばんだい)と呼んだりしたそうです。この山は成層火山としての生い立ちをもち、むつ市街地の西に位置する山頂から裾野をスーと陸奥湾まで延ばしています。釜臥山はむつ市のあちらこちらから望むことができて、わたしが住んでいるところからは山の北東斜面(小松野川源頭部)が良く見えます。この山の中腹から山頂までの部分に焦点を合わせ、山肌に起こる四季の移り変わりを定点カメラで捉えて見ました。

紅葉と落葉
写真@ 紅葉の釜臥山山の秋は山頂に始まり、里へ下ると言います。九月上旬に山頂を眺めると、それまで濃い緑であった北東斜面はなんとなく赤みがかっています。でも、標高の低いところでは、相変わらず濃い緑で覆われています。その赤みが確信できるようになる九月中旬に双眼鏡で覗くと、山頂の空と接するあたりでは、もう既に、裸になっている木々があります。十月中旬、鮮やかな紅葉で山が最も染まっているように見えます。でも、山の上のほうは既に初冬を迎えているようです。山の比較的上部斜面での紅葉はブナの割合が多いためか、やや一様な黄色っぽい茶色に見えます。それに較べて中腹から裾野にかけて、人手があまり入っていないところでの紅葉は様々な広葉樹が交じり合い、樹冠も大きく、見る距離も近いためか、はっきりした色表現をしているように見えます。紅葉の帯は頂上から徐々に、その位置を低いほうにずらしながら進みます。帯の過ぎたあとには裸になった木々を残していくので山肌が白っぽく見え、少しずつ、その割合も増えていきます。このため、山全体が同時に紅葉に染まることはないのです(写真@)

雪の季節
写真A 雪の釜臥山山の初雪は山麓での紅葉が終わる十一月中旬頃にやって来ます。雪が降ると、遠くから見る山の林は、一気に青みがかった墨で描かれたような感じになるのです。山の木々のてっぺんから粉砂糖を降りかけたように、薄くて、まばゆい雪は、森の覆いきれなかった部分の色とはっきりしたコントラストを見せるからなのでしょう。降った雪は、秋晴れの日の太陽に一旦は消されるのですが、そのうち、再び降り積もるのです。いつの間にか、林床にもすっかり雪が積もって、根雪となってしまいます。山の雪は一月中旬から三月いっぱい、晴れた日は和菓子みたいに、白くてぽってりした求肥で包んでいるかのように見えます。五合目から上の斜面ではヒノキアスナロ(ヒバ)の濃く蒼い樹冠だけが木々の存在を示しているかのようです。日当たりの良い標高の低い斜面では、たくさんの高箒をさかさまに立てかけたように広葉樹が枝や幹を見せています(写真A)

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