下北半島のサル調査会

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File 25.2005年G.Wの脇野沢

サクラの中で  photo by M.Kobori 今年のG.Wには、例年どうり有志による春のサルの観察と同時に、NPO法人ニホンザル・フィールドステーション主催による「武士泊海岸清掃ツアー」も行われました。今回はその「武士泊海岸清掃ツアー」にも参加された小泉 明代さんにその参加報告を、またG.W中の最年少参加者の清水 大輝君と清水 桃子さんからも感想文を依頼しました。以下に3名の感想を掲載します。
                                                  H.P偏酋長  小堀 睦





 2005年5月2日武士泊海岸お掃除隊に参加した。すでに前日から、三戸さんら5人が50袋程のゴミを集めてたと聞いている。今日は20袋程集めるそうだ。ここ数年武士泊へは行っていなかったので行ってみたいと思ったのと、野草がたくさん見られると言われ参加したのだった。
 林道を車で入り昨日集めたゴミの置き場へ到着した。そこには白い袋のゴミが山のように積みあがっていた。このゴミは浄水場まで車で運び出すのだそうだ。その作業は小堀君らがやってくれるらしく、私たちはそこから沢を渡って海岸への山道に入っていった。
 春の山は歩いていて楽しい。木々の芽吹きや、カタクリ、スミレ等を楽しみながら行くと、開けた谷に出た。針葉樹とブナの新緑が混じりそのコントラストが美しい。そしてその山と山の間から青く澄んだ海が見えた。少しワクワクしながら着いた海岸は、ガックリするほど汚かった。海からの風がゴウゴウと鳴り波は荒れていた。強風に様々なビニール袋がはためき、はるか向こうまで限りなく続くように見えた。その中に動く小さな人影は、先に着いていた三戸さん、井口さんらだった。手にゴミ袋を持ち一生懸命ゴミを詰め込んでいる。私は指示されて、ロープに台所の排水カゴを穴に通しながら集めていった。同じものが幾つもある。ゴミの上を歩くと、強風なのに、息が詰まるムッとした汚染された臭いがする。流木に混じり、タイヤ、ポリタンク、ブイ、洗剤の容器、ビン、カン等訳のわからない物が地層になって堆積されていた。ほとんどが日本語ではなかった。またたく間に予定数のゴミ袋が集まった。私は蛇の様に長くなった台所カゴを引きずりながら、それを輪にして縛った。さあ今度はこれをかつぎ上げなければならないのだ。大変だ。ゴミ袋2〜3個をヒモでつなげて担ぐ。私は軽いゴミ2つしかもてなかった。皆は3〜4つ持って登っていく。私の持ったゴミは軽かったが、上り坂をバランスを取りながら歩くのが難しかった。転んだら崖を落ちてしまう。途中で一休みすると皆はまた海岸まで残りのゴミを取りに下っていった。私はこれだけで精一杯だった。皆さんは各々3〜4往復くらいしたのではないだろうか。ゴミ袋を5つくらい体に巻きつけて歩く姿は、まるで「山小屋の荷揚げ人」のようで印象的だった。本当に頭の下がる思いがした。武士泊海岸のゴミを拾おうと言う、その固い決意が感じられた。
 考えてみれば下北に来るようになって十数年経つが、私自身地元・サル・山の自然に対して何か役立つ様なことをしてきただろうか。東京には無い美しい自然を感じさせてもらい、心を癒してくれるこの場所のために、何か出来るのは私としても少しうれしかった。毎回限られた日程の中で参加するのも難しいが、ほんの少し時間を割いて役に立つことが出来れば良いなと思う。それもささやかな楽しみとなるかもしれない。
 参加された皆様、本当にご苦労様でした。ゴミの海岸は今日も形成されていることでしょう。でも皆で力を合わせて行った行為はきっと良い方向へ動いて行くのではないか、それを願っています。今回武士泊お掃除隊に参加できて良かったと思う今日この頃です。

2005年6月12日   小泉 明代 


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