
東北ニホンザルフォーラムは今回で第6回を迎え、東北6県を一回りしたことになります。私は残念ながら、皆勤賞とはなりませんでしたが、各地の状況を見たり聞いたりすることで、改めて下北半島のサルについて、自分の住む東京のニホンザルについて、考える機会が得られました。
今回のフォーラムでも、午前中は各県からの現状報告があり、午後からは、公開講座として「サルとわたしたち」というテーマで、様々な角度からサルについて考える講演がありました。
調査会からも、「東北のニホンザル」として伊澤氏(写真)が、「東北地方北部のサルの分布の特徴」について三戸久幸氏(写真)が講演し、植月純也氏も「サルとヒトの関係」についてポスター発表を行いました(写真)。
他の演題は、
「サルのことば」杉浦秀樹(京都大学霊長類研究所)
「遺伝子は語る」川本 芳(京都大学霊長類研究所)
「サルと民俗」中村民彦(学研GIC)
「サルと農業」森光由樹(竃生動物保護管理事務所)
「サルと教育」斉藤千映美(宮城教育大学)でした。
今回の場合、参加者全体の人数も少なめで、参加者は研究者や行政の人が多く、農家の方やサルに関わらない一般の方が少なかった様でした。現在、日本国内のサルが居る所どこへ行っても、サルと農作物の被害は切り離せない問題で、その解決には3者(農家、行政、研究者)の話し合い、情報交換の場も必要だと思われます。そのような視点から見ると、今回の状況はやや残念な気がしました。
講演を聴きながら、考えていたことがあります。ニホンザルは以前からヒトにとって、日本人にとって身近な動物であり、時には悪戯もしたでしょうが、ヒトもサルに対して尊敬の念を持ち、善い関係だったと思います。この気持ちを失ってしまい、持てなくなってしまった事で現在の軋轢が生じ、これを修復することが、しようと考えていくことが大切なのではないでしょうか。同じ日本に生きるものとして。
文章・写真 小林 和弘
←前ページ