下北半島のサル調査会

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 春の山を歩くことは人にとっても大変楽しいものですが、サルたちを見ていても、まるで毎日遠足をしているような楽しい気分を感じるときがあります。
その日も、私はここ6、7年ほどずっと追いかけているO群と呼ばれている群れを見に行きました。
 この群れは山の中で生活する純粋な野生のサルで、主に脇野沢村の平舘海峡に面する、海岸沿いのブナ林の中を南北に移動しています。

そしてこの時季、ブナの林の下には、サルも人も大好きなギョウジャニンニクがいっぱい出ます。サルがそこを通ったかどうかは、直後ならあの強烈なにおいで、そうでなくても食痕でわかります。彼らはギョウジャニンニクを抜いて、白い茎の部分だけ食べて葉のほうは捨ててしまうからです。他にもチシマザサ(ネマガリタケ)やハナウドも柔らかい茎の部分だけを食べます。また、樹の上ではブナやカエデの若葉を食べるサルもいて、とにかくそこら中に食べ物があるような状況です。


↑ギョウジャニンニクを食べるサル

 そしてお腹がいっぱいになると、思い思いに昼寝をしたり毛づくろいをしたり、コドモたちは遊んだりして時間を過ごします。夕方近くになって、群れは海岸に下りていきました。やませ風が吹きつづけるこの時季、西向きの海岸斜面はこの群れにとって生活の中心となる地域です(このあたりではやませ風は東から吹きます)。この日群れが下りたのは、脇野沢村と佐井村の境にある武士泊という海岸です。
 この海岸だけでなく平舘海峡に面するこの付近の海岸は、多くの船が通るせいか海流の関係か、とてもゴミがたまりやすいようで、そこで採食するサルたちもまるでゴミ漁りをしているように見えます。実際は岩についた貝や海草、海岸の縁に生えたマメ科の葉などを食べているのですが、遠くから見ていると、ゴミの中から何かを拾って食べているように見えてはらはらします。しかしそんな私の気持ちとは裏腹に、群れは太陽が竜飛岬に落ちる直前まで海岸近くで陽を楽しみ、その後斜面を上がっていきました。


↑武士泊海岸を歩くサル

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