雲居ひょっとこ斎さんへ  2004年11月19日   松岡史朗

 11月17日のTBS系列のテレビを見て、とのことでしたが正確にはテレビ朝日系列の「スーパーJチャンネル」のことだと思います。
 前日に担当ディレクターから放映日が知らされ、私も当日の放送を見ました。

 第1の感想は、(何とオーバーな)ということでした。『サルに占拠された村』というテロップからはじまったと記憶しています。ただ、事実誤認がないかぎり、少々オーバーになっても「よりセンセーショナルに番組は作られるものだ」というテレビ等報道の宿命を少なからず理解しています。

 そこで、事前に放送原稿を確認すべきとの指摘ですが、これについては、私は自らが検閲をするつもりはありません。番組に協力し、私のさまざまな意見や主張を理解してもらい、その理解に基づいて番組や記事がなりたっていると思っているからです。ただ、私からは求めませんが、報道側から、より正確さの確認のために事前に記事を読む場合や後追いで電話などで確認取材をうける場合もあります。これは報道する側のスタンスと考えています。

 サルの生態について誤解を生むナレーションが非常に多いとの指摘ですが、録画をしておらず検証はできませんが、不満はあるものの、生態については一般的な知識の枠を越えていなかったと記憶しています。
 不満と言うのは、サルの側の言い分と被害住民側の言い分をバランスよくとりあげで欲しかったのですが、被害住民の側の主張ばかりが目立ったということです。この点が強く印象に残ったため、雲居ひょっとこ斎さんのご批判は私への注文というより、番組への批判となっているのではないでしょうか。

 もう一点、誤解されているだろうと思われるのは、「私や下北半島のサル調査会が、村によるサルの駆除を認め、24匹という数字を出した」と思っておられるのではないかということです。
 はっきりと言っておきますが、私および「下北半島のサル調査会」は、まったく関与しておらず、この数字は県・村及び幹事会、科学委員会が決めて出してきていることです。このことは、ホームページのwhat's new!の2004年10月14日「青森県のサル24頭の捕獲を許可」についての私たちのコメント、および「下北半島のサル調査会」のホームページの中の『提言』を読んでいただければ、私たちが決めたのではないということがお分かりいただけると思います。

 もちろん、私は機会あるごとに「24匹の根拠が曖昧であり、この捕獲駆除では抜本的な解決には程遠く、県は下北の住民とサルとの共生についてビジョンを示せ」と言っています。
 今回の騒動で私に協力を求められたことは「捕獲したサルが『ワル』なのかどうかを判定してくれ」というものでした。個体識別できる人間は私しかいないため、こんな閻魔大王のような役を引き受けることになったのです。
 断わることも考えましたが、断わった場合、まったく関係ないサルが捕獲されたり、捕獲頭数が24匹の枠さえあいまいにされそうです。
 一頭一頭名前をつけ、友ともなり、仲間としても少なからぬ年月を共有してきた私の心中を察していただければ幸いです。

 なお、24匹の捕獲にあたり、
 @被害軽減に資する個体
 A群れの分散につながらないような捕獲
 B捕獲後の群れの行動内容の変化について調査
 C捕獲個体の記録
 以上4点が条件づけられています。
  誰が考えても、今回の捕獲駆除が農作物被害や人的被害の本質的な解決につながらないことは明らかです。県も村もそれは充分知っています。
 では、なぜ捕獲を急ぐのか、この点を考えてみて下さい。


この問題に関するご意見をお待ちしております。 斧折斎
saru-banana@mbn.nifty.com 宛にどうぞ


お茶でもどうぞ