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青森県の薬務衛生課が「青森県動物の愛護及び管理に関する条例案の骨子」に対しコメントを求めていました。そこで、私達「下北半島のサル調査会」は以下の要望書(意見書)を10月29日に提出しました。
動物の愛護及び管理に関する条例案に関しての要望書(意見書)
青森県健康福祉部薬務衛生課
動物愛護管理条例担当者 殿
「青森県動物の愛護及び管理に関する条例案の骨子」に対しまして以下のことを要望いたします。
1総則の(2)定義の特定動物の中に、サル類を追加し明記されること。
(理由)
天然記念物である、下北半島のニホンザルの生息地域内で、1980年代後半に日本に生息しないはずのタイワンザルが捕獲・収容されたことがありました。また、昨年の2001年秋以降、明らかにニホンザルとは違う、長い尾のサルが下北半島内の数ヶ所で目撃され、2002年7月にはオスのタイワンザル1頭が捕獲・保護されました。
ニホンザルと異種のサルとの雑種化は、和歌山県(タイワンザル)や千葉県(アカゲザル)で進行しており、和歌山県ではタイワンザルを捕獲・隔離する方向で解決に向かっています。危惧されますことは、このような雑種化が県下で進んだ場合、天然記念物としての、下北半島に生息するニホンザルの価値が消滅するということです。
今、タイワンザルの1集団が、下北半島に放し飼いの状態で飼育されています。台湾から連れてこられた子孫のこれらタイワンザルには罪はありませんし、それを飼育している方も、愛情深く接し続けてこられたことと存じます。しかし、こうした愛情や努力とはうらはらに、事態は、北限のサルの形を変えた絶滅という方向に向かおうとしています。
また、条例案の文言に、「サル類」を追加することが現状ではタイワンザルの飼育者個人だけを管理対象としたもののようにとらえるむきがあるかもしれません。しかし、この雑種化の問題は、前述のようにタイワンザルだけに限ったことではありません。近年、東北各地のペットショップでも外国産のサルなど多数の小動物が売られていますし、「大きくなったら飼えない」といってサル類を山野へ遺棄するケースも多発しています。もちろん「青森県は例外」だとはいえませんし、サルの場合、雑種化の危険に加え、感染症罹患の危険性もあります。その意味でも、サル類に対して適正な対応が望まれます。
条理案にありますように、ライオンやワニを飼育する方がいないとはいえませんし、そのことによって招来される事態も看過できませんが、県民の誇りであり自然史の証人ともいえる下北のサルの消失もまた重大な事態であります。青森県の条例として相応しい文言を加筆されんことを切に希望するしだいです。 以上
平成14年10月29日
「下北半島のサル調査会」
世話人 伊沢 紘生 三戸 幸久
地元世話人 松岡 史朗
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