下北半島のサル調査会

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Order 5:ハリエンジュ

   ≪ ハリエンジュ ≫

ハリエンジュの樹冠の群れ

 北米原産のハリエンジュは、別名ニセアカシアとも呼ぶ。明治時代の初期、日本に渡ってきたという。街路樹や庭木として各地に植えられ、また野生化している。下北地方では、民家周辺や道路脇に多く、山深くには見られない。
ハリエンジュの花 ハリエンジュの芽吹きは遅い。穏やかな風に誘われ、樹木が緑を競っている頃、ハリエンジュはまだまだ冬の装い。ところが、そよぐ風に夏を感じ始めると、待っていましたとばかりに、ハリエンジュに緑が蘇る。奇数羽状複葉が芽吹き、そのわきから15cmぐらいの総状花序を垂らす。あたり一面甘い香りが漂う。サルはこの柔らかな白色の花が大好物なのだ。





ハリエンジュを採食するサル 6月上旬、サルの遊動に変化が現われる。ハリエンジュの白い花にこだわり、彼等の移動が停滞する。1週間近く同じ場所のハリエンジュを食い続けたこともあったほど。ハリエンジュにとっては迷惑千万、細い枝は折れ、花がぽろぽろと落ちる。枝にわずかに残った白い花が、無残さを一層際立たせる。毎年の度重なる食圧で大木が枯れてしまうほど。
 早春から初夏にかけて、黄緑色から深緑色だったサルのフンが、白色のハリエンジュの花の出現で一変してしまう。灰褐色が混じった黄土色になるからだ。季節の恵みの移ろいが、フンからも読み取れるのだ。
 ただ、そんなに執着していたハリエンジュの花も、盛りが過ぎ、花に茶色が目立ち始めると、サルはもう目もくれなくなる。旬を味わうサルの食通ぶりがここにも伺える。

文章・写真    松岡 史朗


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