下北半島のサル調査会

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Profile7 アカネ 

 A2-85群

 アカネと初めて会ったのは寒く雪の積もった冬の調査でした。
 アカネは4才の子供でしたが、すでに左後ろ足首から下がありませんでした。畑の保護用網に足を絡め、切断してしまったようです。
 当時の彼女の印象は、顔が下膨れで可愛いとは程遠いものでした。失礼にも足を見なくてもアカネだと判ったほどです。
 足がないのはやはり痛いのでしょう。群れがゆっくり動いているときは3本足でひょこひょこ歩いたり、木に登ったりします。そんな彼女の後ろを歩いていたら簡単にサルの群に着いていけるかな〜なんて甘いこと思っていたら、とんでもない。他のサルと同じように早いんです。足がなくても、木から木に飛び移ったりなんて普通にできるし、電線だって渡れるんです!!これにはびっくりしました。
 数年後赤ちゃんを抱いている姿を見てとても喜んだことを憶えています。
 しかし初産の後、神経質になって、とてもシャイになったアカネは私を避けるようになりました。そうとは知らず、いつものように近づいた私に悲痛な「ギャーーギャーー」という叫び声をあげたので大変。周りにいた大人のサルが雄も雌も走ってきて酷い騒ぎに変わりました。
 私はその後数年、サルに近づくことが怖くなりました。
 あれから10年弱、アカネは母さんとしての威厳が出来たのか、私が近づいてもあまり逃げなくなりました。
 そして、私もサルが近づいてきても、どんなに怒ってきても怖くなくなりました。

文章:清水桃子    写真:松岡史朗


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