下北半島のサル調査会

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2002年度夏季調査報告ダイジェスト

 02年度夏季調査は86日から11日までの6日間、総勢25(初参加6名を含む)で行なわれた。調査範囲は脇野沢村全域と佐井村の長後以南、川内町の男川流域と野平周辺とした。

調査期間中は、まるで日本中の雨がここに集中したかのように降りつづけ、早朝や夜中も合わせれば雨の降らなかった日は1日もなかった。最終日には村内のあちこちで土砂崩れが起り、林道は川となって調査出来ない場所もあった。山の実りはまずまずで、ちょうどエビガライチゴなどが熟し始めたところだったが、連日の雨の影響が今後の秋の実りにどのように出るのか心配された。

サルに関してもそれぞれの群れで興味深い出来事があった。以下、簡単に結果を報告する。

A2-84群≫

 6〜8日の3日間調査した。
 6日、寄浪の墓地で発見、夕方牛ノ首岬に入る時に28(アカンボウ2頭を含む)を数えた。
 7日、日中に瀬野中学校裏から村営スキー場南西まで移動したゴマ(発信器装着個体)を含む6頭以上のグループと、夕刻になって寄浪から牛ノ首岬へ入った60(アカンボウ6頭を含む)の2グループに分かれた。
 8日朝、瀬野中学校付近から移動、昼過ぎには88ピーク付近でゴマを確認、この頃に2グループが合流したと思われる。その後ガソリンスタンド付近で国道を東へ渡った時、アカンボウ12頭を含む87頭をカウントした。
 9日、踏査しなかったが、早朝は本村北部で午後はガソリンスタンド付近で確認した。

アカンボウの内1頭は死亡しているのか、母ザルらしき個体が引きずって歩いていた。
*ゴマグループが合流した際に、ゴマが他個体からかなり攻撃されていた。
8/14松岡氏が国道を渡る群れをフルカウントした際は88(アカンボウ11頭を含む)であった。

A2-85群≫

 6日と11日に調査した。
 6日朝、村営スキー場東で発見し、田ノ頭林道の生コン工場付近で南へ渡る際に51頭(アカンボウ4頭を含む)をカウントした。群れはメゴ田ノ頭沢まで達した。
 8日、踏査しなかったが、早朝鱈の里バンガロー裏を北上し10:00頃片貝橋付近で目撃されている。
 10日、踏査しなかったが、源藤城付近で朝と夕刻目撃されている。
 11日朝、源藤城の国道東にて発見、群れは南下していた。正午過ぎ鱈の里のテニスコートに達し、その後北上していった。

A-87群≫

 個別のデータ収集の為、4〜9日に調査を行なった。
 4日、九艘泊の新設道路付近から北上して、ヘアピンカーブ北の伐開地を通って、ガンケ山から西に伸びる尾根まで達した。
 5日、ヘアピンカーブ北の伐開地付近から北上し、中細間で向きをかえて南下し、ガンケ山に達した。
 6日、この日の朝、ガンケ山の南付近でコゴミ(発信器個体)を含む14頭とαオスのハッカクを含む10頭の2グループに分かれたらしい。コゴミグループはガンケ山南付近に、ハッカクグループは九艘泊の新設道路のヘアピンカーブ付近からその北の伐開地西側を移動し、そこから南下して猿橋付近に達した。
 7日朝、ハッカクグループは猿橋北に、コゴミグループが九艘泊新設道路の車止め付近にいた。13:00頃車止め付近で両グループは合流し、九艘泊川周辺を移動した。
 8日、ヘアピンカーブ西から北上し、北の伐開地を経て中細間まで達して折り返し、ガンケ山付近を通って南下した。
 9日、新設道路の道路沿いを南西に移動、小学校付近で西に折れ、貝崎の方へ向った。
 *調査中、何度かカウントが行なわれた結果、アカンボウ1(クルミの子)を含む24頭が数えられた。
 *サブグルーピングは主なる3頭のオスのうち、10頭の方にαオス(ハッカク)、コゴミグループに残り2頭のオスが入っていた。グループが合流した時、コゴミグループにいた2頭のうちの1頭が片手を痛めていたので、αオスがいない間に2頭のオスの間に何かトラブルがあったのではないかと考えられた。

O群≫

 予備調査も含め、411日まで調査した。
 4日朝、源藤城林道入口付近の国道を西へ渡る群れを発見、すぐに見失ったが、夕刻上の細間牧場南の谷で声を聴いた。
 5日、青石林道・穴間林道を南へ渡り、下細間沢の上流部を東へ移動して216ピークの北側まで達した。
 6日、下細間上流部から細間牧場東を北上し、面木牧場西のブナオ沢まで、終日追跡した。
 7日、海峡ラインのM字カーブ付近から西へ移動し、武士泊海岸を南下した。
 8日、面木牧場の西から牧場の北を経て東へ向い、源藤城林道入口付近で国道を東へ渡った。この時アカンボウ5頭を含む49頭をカウントし、群れは129ピークまで達した。
 9日、129ピーク付近から源藤城北の電柵付近で国道を西に渡り、細間牧場を経て青石林道の分岐と穴間林道の分岐付近で南へ向った。
 10日、下細間沢上流部から細間林道を北へ渡り、下の細間牧場から西の谷へ入った。
 11日、午前中は全く見つからなかったが、午後に下の細間牧場入口付近で発見、上の牧場に至る道沿いに展開した。
 *
一日の移動距離がかなり長くて、最高は直線距離で4km強、ちょうど熟し始めたイチゴ類に非常に執着していた。
 *
ブナらしい個体を含む10数頭のグループが群れから少し遅れがちで、やや分派に近い行動をしているときもあった。

BU群≫

 811日の4日間調査した。
 8日、大荒川・長右ェ門両林道と牛滝周辺の国道を調査した。長右ェ門林道では縫道石南と薪山鞍部に古いフンがそれぞれ2個と1個見つかった。
 9日、大荒川・長右ェ門両林道と牛滝周辺の国道を調査したが、サル情報はなかった。
 10日、大荒川・長右ェ門両林道と牛滝周辺の国道と揚ノ沢・石山沢を調査した。大荒川林道では403ピーク東で古いススキの食痕、403385ピーク間の小ピークの北東の谷で食害により変化したらしいタカノツメの木、焼山東でススキの食痕、牛滝沢・揚ノ沢出会いの国道上にエゾニュウの食痕があった。
 11日、大荒川・長右ェ門両林道、牛滝周辺の国道、野平を調査したが、サル情報は無かった。

Z-2a群≫

 U群の北に位置するZ-2群が最近2群に分裂したため、U群との位置関係も探るべく、10日に海峡ライン沿いの牛滝・福浦・長後・野平を調査した。牛滝から福浦までの道には点々とフンがあり、牛滝周辺では数日前のフンもあった。長後では最大22(内アカンボウ7)Z-2a群を発見、群れは南下していた。

≪男川流域≫

 81011日の3日間調査した。
 8日、流域の沢をほぼ調査したが、ヤマグワに食痕は無く、サル情報はなかった。
 10日、8日同様に調査した。ハナレザルは確認したが(後述)、群れの情報はない。
 11日、前日同様に調査したが、サル情報はなかった。

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