2007年度 夏季ニホンザル調査のまとめ ダイジェスト
文 責:松 岡 史 朗
2007年8月6日から11日までの6日間を調査期間とした。4日間が雨、最後の一日が
猛暑の晴天という気象条件下での調査であった。アブ(ツナギと呼ばれる小型のアブ)も少な
く、全体を通して気温は低めであった。現時点での山の実りは、ヤマブドウ・コクワ・マ
タタビは並、ブナはやや凶といった状況であった。調査参加者は35名、調査範囲は、むつ
市脇野沢全域・川内町男川流域・佐井村大荒川流域が主であり、冬季一斉調査の下見とし
て、むつ市川内町カモシカライン・薬研地区を見て廻った。
≪ 結果 ≫
★ A2-84群 2007年の3月の補足調査時に分派していた群れが、その後本夏季調査
までの期間に再合流することなしに、分派のままでいることから、A2-
84群の分裂を確認した。ただ、まだ不安定な状態には違いなく今後の動
向を追う必要がある。
・A2-84群A:(電波発信機が装着されているゴマ・シソが含まれる)
8/9 国道338号線 ガソリンスタンド南を東から西へ横断する時
68頭(内9ベビー) A♂+YA♂ 5頭 A♀+YA♀ 28頭
・A2-84群B:8/7 芋田
19頭+α(内3ベビー+α) A♂ 2頭 A♀ 6頭
※ 30頭前後はいると思われる
・A2-84群C:8/10 牛の首岬
9頭(内2ベビー) A♂ 1頭 A♀ 4頭
・A2-84群からのハナレザル:8/6〜8/8 愛宕山公園周辺
3頭 YA♂(6〜7歳1頭、3〜4歳2頭)
分裂後、不安定な状態であることが予測され、再分裂・再合流も視野に入れて観察
を続ける必要がある。また、現状では分裂前のA2-84群の遊動域を3群共に行動して
いるが、今後分裂群の遊動域がどのように確立されていくのかが注目される。猿害対
策にも最大のポイントとなり、しばらくは様子を見ながら調査を続けることが望まれ
る。
★ A2-85群
8/6 口広地区の国道338号線近くの広場を西から東へ移動する時
82頭+α(内12ベビー) A♂+YA♂ 6頭 A♀ 23頭
※ 86頭(内14ベビー)の記録あり(7月上旬)
8/8 七引バンガローでA♀1頭(老)が観察された。観察場所がA2-85群
の遊動域であり、群れからはぐれているものと思われる。
★ A87群
7/31 (予備調査) 九艘泊‐滝山線の道路周辺
41頭(内7ベビー) A♂ 2頭 A♀ 11頭
★ O1群 (鼻切れの♂、老♀ブナを含む)
8/8 細間牧場
27頭+α(内4ベビー)
※ +αは5〜6頭はいる
★ O2群 (双子のいる群れ)
8/8 海峡ライン
47頭+α(内6〜7ベビー) A♂ 2頭 A♀ 13頭
★ 男川の群れ
調査期間中4日間踏査したが、松山沢出会いでフン、男川本流の林道にフン
を発見したのみに終った
★ U群・B群
調査期間中3日間、踏査をする。長右ヱ門林道に多数のフン・エビガライチ
ゴの食痕を確認したが、群れの発見はなかった
★ ハナレザル
8/6 水源地公園エンテイの上に7〜8歳YAの♂1頭
8/11 海峡ラインに10歳前後の♂1頭
《食べていたもの》
ニガキの実・ササの新葉・ツノハシバミの実・シロツメグサの葉・クズの花、葉、つぼ
み・イネ科SPの種子・オニグルミの果肉・エゾニュウの茎・クマヤナギの実・セミ・エビ
ガライチゴの実・ナワシロイチゴの実・アザミの種子・イタチハギの種子・ナナカマドの
実・ノブドウの実・トチノキの葉柄・甲虫類(フンの中)・ニホンザリガニ(フンの中)
〔畑のもの〕サヤエンドウ・ジャガイモ・トウモロコシ