2003年度夏季調査報告ダイジェスト
今年度の夏季調査は、調査期間中8,9日の二日間台風10号の影響で雨となり残りも雨こそ降らないものの曇りがちの日が続き全体的に気温の低い中行われました。
平成5年の冷夏ほどではないようですが、下北地方のコメは不作のようです。山の実りも、ブナやヤマブドウは平年並みですがサルナシ(コクワ)は不作のようですし調査期間中エビガライチゴの実はまだ開かず、またサルがササの葉を食べるなどの6月中によく見られる行動が観察されたりしました。例年調査員を悩ますアブなどの虫も少なかったように思います。
本調査は
1.A2−84群、A2−85群、A87群の個体数・構成の確認及び各々の個体識別の継続調査。
2.O群を含むB群、U群、男川流域に生息する群れの確認。
3.タイワンザルの有無
を目的に例年どおり8月6日から11日の6日間にわたって行われました。
調査範囲は脇野沢村全域を中心に北部は佐井村牛滝地区・川内町野平地区、東部は川内町の宿野部川流域までを対象にしました。
(1)A2−84群
A2−84群は、8/5と8/6〜10の6日間、延べ24人の調査員により調査が行われました。この間A2−84群は瀬野川流域を中心にした北はスキー場、南は新井田、牛ノ首農村公園付近までを遊動した。頭数は、8/5に国道338号線ガソリンスタンド南100m地点で85頭+α(α≦10)をカウントした。
(2)A2−85群
今調査では、8/4と8/6〜10の6日間、延べ24人の調査員が投入されたが、8/9まで群れの把握が出来なかった。そのため群れを追跡、調査が行われたのは、プレ調査の8/4と8/9,10の3日間となった。
群れは、8/4に源藤城集落北側の国道338号線を渡るのを目撃された後、8/9にバンガロー付近で目撃されるまでその姿を消していた。85群は人家周辺を探せば見つかるはずという思い込み(?)もあったであろうが、どうやら山中を遊動していたようである。8/10には片貝地区の電柵の畑から旧片貝小学校を抜け、野猿公苑の国道をはさんだ向かいの林まで遊動した。その間54頭がカウントされたが、85群は7/25に松岡氏によって56頭+α(α≦2)が確認されている。
(3)A87群
A87群は、8/6〜9の4日間延べ14人で調査が行われたがその中に「A87のスペシャリスト」こと中山氏がいたおかげで、充実した結果となった。群れは8/6〜8の3日間穴間山とガンケ山を結ぶラインの北側で遊動していたが、8/9には九艘泊集落付近で目視されている。また、頭数の確認も8/8に中山氏の個体識別(点呼方式?)によって29頭が確認されている。
(4)O群
O群に関しては、今回の調査目的の2番目にもあげられているように今回の調査も目玉的要素であった。そこで8/7〜11までの6日間延べ29人の調査員を投入して調査が行われたが、10日夕方の調査終了間際に声が確認され、最終日の11日に面木沢の林道入り口から800m付近で群れを確認、最大8頭が目視されるという結果となった。
(5)UまたはB群
近年の調査で必ず問題になる要素の一つであるUまたはB群の確認であるが、この問題の解決のため今回の調査でも積極的に人員の投入か行われた。調査は8/8〜11の4日間延べ20人で行われた。サルの群れは8/4に新山の東の海峡ラインじょうで目視され、その後8/10に牛滝集落入り口で21頭+αがカウントされた。また11日にも牛滝集落入り口付近の国道338号線上で最大14頭の群れが確認されている。
(6)男川流域の群れ
8/8と11の2日間延べ4人で行われたが、サル情報を得ることは出来なかった。
(7)ハナレザルとタイワンザルに関する情報
8/5に野猿公苑野テニスコートでA♂、YA♂各1の足跡を確認。また、8/11に川内町銀杏木集落入口の分岐から300mきたの路上で人馴れしたFA♂のハナレザル情報があった。
タイワンザルに関する情報はなかった。
また、調査期間中28種類の野生の植物(キノコを含む)、7種類の農作物(カラマツの若葉、牧草を含む)、3種類の昆虫類(クモを含む)をサルが食べるのが観察された。
調査に参加された皆さんお疲れ様でした。
文章 小堀 睦