紅葉狩り  2004年10月25日  東京三太

 東京のマカロニ群は、個体数が13〜14頭で、檜原村の南秋川流域に1.2平方キロメートルほどの小さな行動範囲を構えている(04年8月現在)。
 この群れの行動範囲は、人家、農地、街道筋と車、そしてスギの植林地と、人工物が圧倒的に多い。もっとも、人工物がいくら多かろうと、そこでの「食と安全がOK牧場」と認識されれば、人工物など、サルにとってはもうどうでもいいことになる。

 2004年10月25日はこの群れのウオッチングをした。いつものとおり、檜原街道と山梨県へ通じる都道33号線で群れを探したが、まったく見つからない。3日前には、集落裏手の林縁で柿の実を食べ、街道筋の電線の上を、車など気にも留めずに、スタスタと歩いていたのだが。老オス、リー・バン・クリーフよ“一目あなたに会いたくて”、街道筋は車で探し、集落の入り口に車をとめて、2つの林道を奥まであるいた。この日、群れは、これまでの行動範囲の西限から、さらに西へ2.5キロメートル離れた尾根に近い二次林の中にいた。
 距離が遠くて性別はわからないが、コナラかミズナラの樹冠に腰をおろす2頭のオトナを見るにとどまった。でも、あたりにはサルが起こす枝のゆれが幾度もしていたから、 群れに間違いないし、マカロニ群だという確たる証拠はすでにある。

 そして、当然のこととして「なぜ、こんな所まで来たのか」について考えた。"分裂"、"分派"の可能性、"交尾季にはいったから"か?。

 天空から西に傾いた陽の光が、赤と黄色に色づきはじめた二次林を黄金色に輝かせた。それを見たとき、その訳を理解できた。彼らは"紅葉狩り"にきたのだ。
 人工物に接する生活はやはり何かを求めさせるのだ。その何かとは、自然の大気とその中での、野生の動物と植物のあたりまえの融和なのだ。


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