母子のハナレザル−その後− 2008年5月29日 中村民彦
2月11日付「お茶でもどうぞ」に紹介した岩手県岩泉町に出没していた「母子のハナレザル!?」の「母ザル」が5月19日射殺されました。
捕獲し山奥への放獣をお願いしていましたが、子供に咬みついたことが有害駆除の許可につながったようです。「子ザル」は逃げて「無事?」のようです。
今回は有害駆除について考えてみたいと思います。
現在の、有害駆除の「許可」=「射殺」のあり方には納得のできない問題があります。 それは、許可期間が申請によって延長される結果、
ほぼ1年中、有害駆除ができるようになっていることです。被害とは無関係に年間、一定数の捕獲枠が決められているのです。
個体数のコントロールという詭弁のもとに年中行事のように行われています。
農林業被害をはじめ、住民への心理的被害や、屋根や車の破損などによる物損被害、そして、咬みつきなどによる人身被害など、
駆除を申請し許可されると、天然記念物でも絶滅危惧種でも、鳥獣保護区でさえも駆除は行われます。
これに関連して鳥獣保護員制度の問題もあります。
鳥獣保護法では、鳥獣保護区の管理、鳥獣に関する各種の調査など鳥獣保護事業の実施に関する業務を補助する職員と記述されていますが、
鳥獣保護員の93%がハンターであり、またほとんどの場合、保護員は、地元狩猟者団体からの推薦によって選定されています。
ここに「許可」=「射殺」の図式が潜んでいます。
サルとの関わりが多様化している現在、狩猟者に限定された推薦制は廃止すべきです。 そして、広く「保護活動」に情熱をもつ人材を公募し、
公正な制度に改善しなければなりません。
私達人間は、サルを操作する「射殺」と「「保護」のリモコンを持っています。
あなたなら「保護」のボタンを押しますか、それとも「射殺」のボタンを押しますか。
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