社会ニュース(朝日新聞より)2004年10月05日(火)

北限のニホンザル駆除へ 青森県脇野沢村が申請

 「北限のニホンザル」が生息する青森県脇野沢村は5日、県の特定鳥獣保護管理計画に基づき、24匹のサルの捕獲を県に申請した。同所のニホンザルは世界で最も北に生息しているサルとして国の天然記念物に指定されているが、年々数が増え、農作物の被害や人への威嚇行為が問題になっていた。捕獲したサルは薬殺する方針。天然記念物のサルの駆除は初めてとなる。
 同村を中心に下北半島で生息するニホンザルは現在、28群で約1500匹と見られる。このうち、捕獲対象となるのは民家周辺に生息している二つの群れ(計約170匹)で、年間増加率から、24匹までであれば、群れの維持に大きな影響はないと判断した。捕獲の数や方法について県はすでに専門家による検討を進めており、近く捕獲を許可する方針だ。
 サルによる農作物被害は各地で問題になっており、全国では年間約1万匹が有害鳥獣として駆除されている。文化庁記念物課によると、サルが天然記念物に指定されている地域は下北半島を含め全国6カ所あるが、指定地域内で駆除された例はないという。村ではこれまでに89匹を捕獲したことがあり、村内の施設で観光用に飼育している。


社会ニュース(読売新聞より) 更新日時 : 2004年10月05日(火)14:03

天然記念物「北限のサル」、食害広がる…初の駆除も

 青森県下北半島に生息する国の天然記念物「北限のニホンザル」の捕獲を、脇野沢村が5日、県に申請する。
 数が増えて農作物被害が広がり、住民へも危害を加えるようになったためだ。捕獲後の収容先は決まっておらず、初めて“駆除”も検討されている。
 申請は、県特定鳥獣保護管理計画に基づくもので、24頭の捕獲を計画している。県は昨年12月、人家に侵入したり人へ危害を与えたりするサルの捕獲基準などの管理計画を作成。薬殺などの方法で駆除することも可能とした。
 下北半島のニホンザルは日本最北端に住む北限のサルとして1970年に国の天然記念物に指定され、保護の対象となった。60年代には200頭ほどに過ぎなかったが、えさを与えられるなどして一気に数が増え、現在は半島内の6町村に約1500頭が28の群れに分かれている。反面、サルの被害が目立つようになり、4月以降だけで、村民が農作業中に群れに囲まれて威嚇され、70歳代の男性はサルに追いかけられて転んでけがをするなど被害が発生。
 サルの捕獲は1981、82年にも行われ、計約120頭が、村内にある野猿公苑などに収容された。しかし、今回は他の施設も収容しきれない状態という。文化庁記念物課によると、ニホンザルとその生息地が天然記念物に指定されている地域は、6か所あり、駆除されれば、全国初となる。